日本とニュージーランドの代表ラグビーと聞けば、まずAll Blacks対日本代表を思い浮かべるかもしれません。
しかし実際には、All Blacks XVやMāori All Blacks、Japan XVなど、それぞれ異なる役割を持つチームも両国の代表交流をつくっています。
それぞれの違いを知ると、単なる「日本対NZ」では見えなかった、代表ラグビーを通じた両国のつながりが、より分かりやすくなります。
目次
CHAPTER 1|日本とNZの代表関係を知る
CHAPTER 2|ニュージーランド側の代表チーム
5. All Blacks XV|All Blacksにつながる代表チーム
6. Māori All Blacks|文化と歴史を背負う特別な代表
CHAPTER 3|日本側は誰が対戦する?
CHAPTER 4|実際にどんな交流が続いている?
12. 2025・2026|Māori All Blacksとの交流が続く
CHAPTER 5|代表戦の先に何がある?
最後まで読めば、All Blacks、All Blacks XV、Māori All Blacksの違いと、日本代表・Japan XVとの関係から、日本とNZの代表ラグビーがどのようにつながっているのかを、より理解しやすくなるでしょう。
CHAPTER 1|日本とNZの代表関係を知る
1. 日本対NZはAll Blacksだけではない
日本とニュージーランドの代表ラグビー。
最も分かりやすいのは、やはりAll Blacksと日本代表の対戦です。
ただ、日本とNZの代表レベルの交流を理解するには、All Blacksだけを見ていては十分ではありません。
NZ側には、例えば次のチームがあります。
- All Blacks
- All Blacks XV
- Māori All Blacks
- All Blacks Sevens
- Black Ferns Sevens
日本側でも、日本代表だけでなくJapan XVなどがNZ側のチームと対戦しています。
そして重要なのは、これらを単純な「1軍、2軍、3軍」として理解しないことです。
それぞれのチームには、異なる役割や背景があります。
その違いを知ることが、日本とNZの代表交流を理解する最初の入口になります。
2. 2023年のMoUで代表交流はどう位置づけられた?
現在の両国の関係を見るうえで、大きな基点の一つが2023年です。
New Zealand Rugby(NZ Rugby)とJapan Rugby Football Union(日本ラグビーフットボール協会)は同年、両者の関係を深め、アジア太平洋地域でラグビーを成長させることを目的としたMemorandum of Understanding(MoU)を締結しました。
その中では、2024年から2027年にかけて日本で定期的に対戦する機会として、NZ側から次のチームが挙げられています。
- All Blacks
- All Blacks XV
- Māori All Blacks
日本側では、日本代表やJapan XVとの試合が想定されています。
さらに代表交流は男子15人制だけに限定されていません。
Sevensについても、次のチームが既存の大会以外で対戦する機会を探ることが盛り込まれました。
- All Blacks Sevens
- Black Ferns Sevens
- Japan Sevens
つまり両国の代表交流は、「次にAll Blacksがいつ日本へ来るか」という一つの話だけではありません。
複数の代表チームを通じて、接点を継続的につくっていく関係として見ることができます。
3. まず知っておきたい代表チームの違い
ここで、この記事の中心となるチームを整理しておきましょう。
NZ側
- All Blacks|NZ男子15人制のナショナルチーム
- All Blacks XV|All Blacksにつながる高いレベルの代表チーム
- Māori All Blacks|Māoriとしてのアイデンティティと長い歴史を持つ代表チーム
日本側
- 日本代表(Brave Blossoms)|日本男子15人制のナショナルチーム
- Japan XV|日本代表とは区別して編成・表記されるチーム
特に覚えておきたいのは、
All Blacks ≠ All Blacks XV ≠ Māori All Blacks
ということです。
そして日本側でも、
日本代表 ≠ Japan XV
です。
名前だけを見ると似ていますが、それぞれの役割を理解すると、なぜ日本で異なる組み合わせの試合が行われているのかが見えやすくなります。
CHAPTER 2|ニュージーランド側の代表チーム
4. All Blacks|NZを代表するナショナルチーム
All Blacksは、NZ男子15人制のナショナルチームです。
日本との関係でも、最も大きな注目を集めるNZ代表といえるでしょう。
All Blacksと日本代表の対戦は、両国の代表交流を象徴する試合の一つです。
ただしJapan Connectionという視点では、試合結果だけを見る必要はありません。
All Blacksが日本を訪れることで、例えば次のような接点も生まれます。
- 日本のファンが世界トップレベルのNZラグビーを見る
- 両協会の関係が多くの人に見える形になる
- メディアの注目が集まる
- 企業やパートナーが関わる
- 日本でNZラグビーを知る入口が増える
All Blacksは競技上の対戦相手であると同時に、日本とNZラグビーの関係を多くの人へ見せる大きな入口でもあります。
5. All Blacks XV|All Blacksにつながる代表チーム
All Blacks XVは、名前が似ているためAll Blacksと混同されやすいチームです。
NZ RugbyはAll Blacks XVを、All Blacksにつながる重要なHigh Performance Pathwayとして位置づけています。
また、All Blacksに次ぐsenior national representative teamとして位置づけられており、U20のような年齢別代表ではありません。
高いレベルの選手が国際試合を経験できる代表環境でもあります。
2023年の日本遠征では、次の異なる日本側チームと対戦しました。
- Japan XV
- 日本代表
日本側にとっても、All Blacks本体との試合とは少し違った意味を持ちます。
NZのAll Blacksにつながる代表レベルの選手たちと実戦で対戦できることは、国際レベルを経験する機会の一つになります。
All Blacks XVを知ると、NZ代表ラグビーがAll Blacksだけで完結していないことが見えてきます。
6. Māori All Blacks|文化と歴史を背負う特別な代表
Māori All Blacksも、「All Blacksの下にあるチーム」とだけ理解すると、その意味を見落としてしまいます。
Māori All Blacksには、Māoriとしてのアイデンティティと長い歴史があります。
現在、Māori All Blacksの選手には、Māori whakapapa(系譜)が確認されることが求められています。
そのため、All Blacks XVとはチームの意味そのものが異なります。
日本遠征も単なるラグビーの試合だけではなく、Māori文化と日本が接する機会にもなっています。
2024年、2025年、そして2026年にもMāori All BlacksとJapan XVの試合が行われています。
Māori All Blacksは「All Blacksの二軍」ではありません。
この違いを知ることは、NZの代表ラグビーそのものを理解するうえでも重要です。
CHAPTER 3|日本側は誰が対戦する?
7. Brave Blossoms|日本代表
日本側で最も分かりやすいのが、男子15人制の日本代表です。
一般にBrave Blossomsとして知られ、各国代表とのテストマッチなどを戦う日本男子15人制のナショナルチームです。
NZとの関係でも、日本代表は中心的な存在です。
一方で、NZ側のチームが日本へ来たとき、必ず日本代表が対戦するとは限りません。
そこで登場するのがJapan XVです。
8. Japan XV|日本代表とは何が違う?
Japan XVは日本代表と同じものではありません。
この違いは、実際の試合を見ると分かりやすくなります。
2023年のAll Blacks XV日本遠征では、次の二つの試合が行われました。
- Japan XV vs All Blacks XV
- 日本代表 vs All Blacks XV
2024年、2025年、2026年のMāori All Blacksとの試合では、Japan XVが対戦相手となっています。
つまり、「NZの代表チームが日本と戦う」というニュースを見たときには、日本側が日本代表なのかJapan XVなのかも確認する必要があります。
Japan XVの具体的な選考目的や位置づけは、その時々の大会や活動によって確認する必要があります。
単純に「日本代表の二軍」と決めつけるのではなく、その試合がどのチーム名で、どのような位置づけで行われているのかを見るのが正確です。
9. なぜ対戦相手によってチームが変わるのか?
では、なぜいつもAll Blacks対日本代表ではないのでしょうか。
代表レベルの試合には、それぞれ異なる目的や位置づけがあります。
試合やチームによっては、例えば次のような意味を持つことがあります。
- ナショナルチーム同士が国際試合を戦う
- より幅広い選手が国際経験を積む
- 代表レベルで選手を試す
- 特定のTourやProgrammeの中でチームを編成する
- Māori All Blacksのように独自の歴史・文化的背景を持つチームと交流する
だから、「NZのどのチームが、日本のどのチームと戦うのか」は単なる名称の違いではありません。
その組み合わせ自体が、試合の意味を理解するヒントになります。
CHAPTER 4|実際にどんな交流が続いている?
10. 2023|All Blacks XVが日本へ
2023年7月、All Blacks XVは日本で2試合を行いました。
- 7月8日|Japan XV 6–38 All Blacks XV|秩父宮ラグビー場
- 7月15日|日本代表 27–41 All Blacks XV|熊本
なお、7月15日は日本代表として行われた試合でしたが、JRFUではキャップ対象試合ではないとされています。
この点からも、「日本代表が出場する試合」と「通常のテストマッチ」を常に同じものとして考えることはできません。
Japan Connectionという視点では、スコアだけが重要なのではありません。
日本側が、NZのAll Blacksにつながる高いレベルの代表選手たちと実戦で向き合ったことにも意味があります。
NZ側にとっても、選手が国際試合を経験する機会になります。
11. 2024|Māori All Blacksが日本へ
翌2024年には、Māori All Blacksが日本を訪れ、Japan XVと2試合を行いました。
- 6月29日|東京・秩父宮ラグビー場
- 7月6日|愛知・豊田スタジアム
ここで対戦したのはAll BlacksではなくMāori All Blacks、日本側も日本代表ではなくJapan XVです。
さらに、この2試合のうち7月6日の試合では、Japan XVがMāori All Blacksに26–14で勝利しました。
この組み合わせを見るだけでも、日本とNZの代表交流には複数のレイヤーがあることが分かります。
そしてMāori All Blacksの場合は、競技だけでなく、Māori文化というNZラグビーの重要な一面が日本へ伝わる機会にもなります。
12. 2025・2026|Māori All Blacksとの交流が続く
Māori All Blacksと日本の関係は、2024年だけで終わりませんでした。
2025年6月28日にも東京でJapan XVとMāori All Blacksが対戦しました。
さらに2026年6月27日には、名古屋のPaloma Mizuho Stadiumで両チームが再び対戦しています。
NZ Rugbyは2026年の試合を発表した際、Māori All Blacksと日本側の対戦について、次のように説明しています。
- 過去3年間で4度目
- 1981年以来では7度目
ここから見えてくるのは、一度きりのTourではなく、継続して積み重なっている関係です。
代表交流は大きなイベントとして開催されますが、一回の試合で終わらず次の接点へ続いていくことで、両国の関係も少しずつ積み重なっていきます。
13. Sevensなど15人制男子以外にも広がる
日本とNZの代表交流を見るとき、男子15人制だけに限定する必要もありません。
2023年のMoUでは、Sevensについて次のチームが既存Tournament以外でも対戦する機会を探ることが盛り込まれています。
- All Blacks Sevens
- Black Ferns Sevens
- Japan Sevens
また女子ラグビーについても、日本のトップ選手がSuper Rugby AupikiやFarah Palmer Cupでプレーする機会について協議する方向性が示されています。
これは代表戦そのものとは別のPlayer Movementも含みます。
それでも大きな視点では、同じことが見えてきます。
日本とNZのラグビー関係は、男子15人制代表だけに閉じたものではありません。
CHAPTER 5|代表戦の先に何がある?
14. 試合は選手が国際経験を積む機会にもなる
代表戦は、ファンにとっては観戦する試合です。
一方、選手側から見れば、国際レベルを経験する場でもあります。
特にAll Blacks XVを見ると、その意味が分かりやすくなります。
NZ RugbyはAll Blacks XVを、All Blacksにつながる重要なHigh Performance Pathwayとして位置づけています。
年齢別代表ではありませんが、より幅広い選手が高いレベルの国際試合を経験できる環境です。
日本側でも、こうした相手と実戦で向き合うことは、選手を試し、国際レベルを経験する機会になり得ます。
つまり代表交流は、観戦イベントであると同時に、選手が国際経験を積む場所として見ることもできます。
15. Māori All Blacks戦は文化に触れる機会でもある
Māori All Blacksとの試合には、もう一つの特徴があります。
Māori All BlacksはMāoriの文化と歴史、アイデンティティを持つチームです。
NZ Rugbyも日本Tourについて、ラグビーだけでなく、両国の文化や伝統を共有する機会として説明しています。
そのため日本でのTourは、競技交流だけではなく、NZという国やMāori文化を日本側が知る入口にもなります。
これはNZラグビーディスカバリーが大切にしている、「ラグビーを入口に、その国の文化を知る」という見方にもつながります。
ラグビーの試合から、その国の歴史や文化、人々へ。
Māori All Blacksとの交流は、その広がりが特に見えやすい例です。
16. 代表交流で動くのは選手だけではない
代表チームが国境を越えると、動くのは選手だけではありません。
例えば、次のような人や組織も関わります。
- コーチ・スタッフ
- ラグビー協会
- 開催地域
- 企業・スポンサー
- メディア
- ファン
一つの代表戦から、競技以外の新しい接点が生まれることもあります。
これは、日本とNZのラグビーを複数の接点から見るJapan Connectionそのものです。
National Teamsはその一つですが、実際には他の世界と重なりながら存在しています。
17. 「どのNZ代表と戦うか」で試合の意味も変わる
ここまで見てきたように、NZ側の代表チームをすべて「ニュージーランド代表」と一括りにするだけでは、それぞれの試合の意味が見えにくくなります。
- All Blacks|NZ男子15人制のナショナルチーム
- All Blacks XV|All Blacksにつながる高いレベルの代表チーム
- Māori All Blacks|Māoriとしてのアイデンティティと歴史を持つ代表チーム
日本側でも、日本代表とJapan XVは同じ名称・位置づけではありません。
だから代表戦を見るときは、
「誰と誰が戦っているのか?」
を少し意識してみる。
それだけでも、その試合が両国のラグビーにとってどんな意味を持つのかを、より深く見る手がかりになります。
18. 代表チームからProfessional Rugbyへ
代表チームは、日本とNZのラグビーをつなぐ最も目立つ入口の一つです。
しかし選手たちが一年中、代表チームだけでプレーしているわけではありません。
その下には、例えば次のような日常のCompetitionがあります。
- Japan Rugby League One
- Super Rugby Pacific
- NZ国内のラグビー
- 日本国内のラグビー
そして、このProfessional Rugbyの世界でも、日本とNZの間を多くの選手やコーチが行き来しています。
代表戦から一段下へ降りてみると、日本とNZのつながりは「特別な試合」から「日常のラグビー」へ広がっていきます。
次に見えてくるのが、Japan Connectionの二つ目の大きな世界――Professional Rugbyです。
知れば知るほど、もっと面白い。
ニュージーランドラグビー。
