NZスクールラグビーのGame On・Half Game Ruleとは?試合と出場機会をつくる仕組みを解説

NZのスクールラグビーでは、試合当日に15人を揃えられなかったらどうなるのでしょうか。

人数が足りないからといって、そのまま不戦敗になるとは限りません。人数やフィールドの広さなどを調整し、できる形で試合を行う「Game On(ゲームオン)」という仕組みがあります。

さらに、対象となるカテゴリーでは、スコッドに入った選手がほとんど試合に出られないまま終わらないよう、最低でも試合の半分をプレーする機会を確保する「Half Game Rule(ハーフゲーム・ルール)」も設けられています。

一つは、試合を成立させるための仕組み。もう一つは、選手が実際にプレーする時間を確保するための仕組みです。

この記事では、ゲームオンとハーフゲーム・ルールの仕組み、それぞれの違い、1st XVとの関係まで初心者向けに解説します。

この記事を最後まで読むと、Game OnとHalf Game Ruleが単なる特殊ルールではなく、できるだけ多くの選手が実際にラグビーをプレーするための仕組みであることが分かります。

CHAPTER 1|Game Onとは?

1. 15人揃わなくても試合ができる

ラグビーユニオンといえば、基本は15人対15人です。

では、ある学校が試合当日に13人しか揃えられなかったらどうなるのでしょうか。

NZのスクールラグビーでは、そこで必ず試合が中止になるわけではありません。

Game On(ゲームオン)を使い、人数を調整して試合を行うことができます。

例えば、一方のチームに13人しかいない場合、両チームの合意によって13人対13人で試合を行うことができます。

ゲームオンでは、10人から15人の範囲で試合人数を調整できます。両チームが合意すれば、13人いるから必ず13人対13人にするのではなく、別の人数設定にすることも可能です。

人数について合意できない場合は、基本的に人数の少ないチームに合わせます。

「15人いないから試合をしない」のではなく、「今いる選手でどうすれば試合ができるか」を考える。

それがゲームオンの基本的な考え方です。

2. 人数だけでなくフィールドやスクラムも調整できる

ゲームオンで変えられるのは、選手の人数だけではありません。

人数や選手構成に応じて、

  • フィールドの広さ
  • スクラムの人数
  • スクラムの形式
  • 試合時間

なども調整できます。

例えば、人数が少ないのに通常と同じ広さのフィールドでプレーすれば、選手への負担は大きくなります。

そのため、両チームが合意すれば、フィールドを通常より小さくして試合を行うこともできます。

スクラムも同様です。

15人制では通常8人のフォワードでスクラムを組みますが、ゲームオンで人数を減らした場合は、試合人数に応じてスクラムの人数も調整します。

また、安全にスクラムを組めるフロントロー選手が十分に揃わない場合などには、スクラムを押し合わないアンコンテステッド・スクラムで試合を行うこともあります。

単純に「15人制から何人かを抜く」のではありません。

その日の人数や選手構成に合わせて、ゲームそのものを調整する仕組みになっています。

3. Game Onでも正式な試合として勝敗を決める

ここは、ゲームオンを理解するうえで重要なポイントです。

人数を減らして行うと聞くと、

練習試合のような扱いになるのでは?

と思うかもしれません。

しかし、ゲームオンで行われた試合も、大会の正式な試合として勝敗を競い、勝ち点の対象になります。

つまり、

15人を揃えられなかった = 自動的に不戦敗

とは限りません。

条件を調整して実際に試合を行い、その結果によって勝敗を決めることができます。

もちろん、両チームがその場で自由にルールを変えてよいわけではありません。

ゲームオンを適用する場合は、両チームとマッチオフィシャルの間で、試合人数やその他の条件について確認します。

可能であれば、試合当日に突然決めるのではなく、前もって相手チームと話し合うことも推奨されています。

試合を成立させるための柔軟性があり、そのための正式なルールも用意されている。

それがゲームオンです。

CHAPTER 2|Half Game Ruleとは?

4. スコッドに入った選手のプレー時間を確保する

試合が開催されても、実際にプレーできる選手が一部だけでは、参加機会は広がりません。

そこで、もう一つ重要になるのがHalf Game Rule(ハーフゲーム・ルール)です。

対象となるカテゴリーでは、22人以下のスコッドの場合、すべての選手が最低でも試合の半分をプレーすることが基本となっています。

例えば、選手がスコッドに入って試合会場まで来ても、

  • ずっとベンチにいる
  • 最後の数分しか出場できない
  • 毎週ほとんどプレーできない

という状態が続けば、十分な試合経験を積むことができません。

ハーフゲーム・ルールは、単にチームに所属するだけではなく、実際にフィールドでプレーする時間を確保するための仕組みです。

5. なぜプレー時間を確保するのか

NZ Rugbyは、十分なプレー時間を確保することを、選手の成長やラグビーを続ける意欲につなげることを重視しています。

ラグビーでは、練習だけでなく実際の試合で、

  • タックルする
  • パスを受ける
  • 状況を判断する
  • 仲間と連係する
  • 相手のプレッシャーを受ける

といった経験を重ねていきます。

そのため、ハーフゲーム・ルールでは「試合に登録されている」というだけでなく、実際にプレーする機会を一定以上確保することを重視しています。

ただし、

全員がまったく同じ時間だけプレーしなければならない

という意味ではありません。

あくまで、対象となる選手に最低でも半試合のプレー時間を確保するルールです。

6. 1st XVは対象外

ここで重要なのが、Secondary School 1st XVはハーフゲーム・ルールの対象外だということです。

そのため、

NZのスクールラグビーでは、すべての選手が必ず半試合出場する

という理解は正しくありません。

これまで紹介してきた1st XV、Top Four、Moascar Cupなどと、今回のハーフゲーム・ルールが適用されるカテゴリーは分けて考える必要があります。

NZのスクールラグビーには、参加機会を広げるためのルールがある一方で、すべてのカテゴリーがまったく同じ仕組みで運営されているわけではありません。

CHAPTER 3|2つのルールはどうつながる?

7. Game OnでもHalf Game Ruleは適用される

ゲームオンとハーフゲーム・ルールは、それぞれ異なる目的を持っています。

しかし、対象となるスクールラグビーでは、2つが一緒に働くことがあります。

ゲームオンを使って試合人数を減らしたからといって、ハーフゲーム・ルールがなくなるわけではありません。

ゲームオンで試合を行う場合でも、対象となるスクールラグビーではハーフゲーム・ルールが引き続き適用されます。

ここに、この2つの仕組みを一緒に理解する意味があります。

8. 「試合を成立させる」と「選手を試合に出す」

2つの違いを整理すると、非常にシンプルです。

Game On Half Game Rule
主な目的 試合を成立させる 選手のプレー時間を確保する
対応する問題 人数やフロントロー選手の不足 十分な出場時間を得られない選手がいる
主な方法 人数・フィールド・スクラム・試合時間などを調整 対象選手に最低半試合のプレー時間を確保
スクールラグビーでの位置づけ 1st XVより下を中心に使用(地域・大会による違いあり) 1st XVを除く対象カテゴリー
基本的な考え方 できる形で試合をする チームにいる選手が実際にプレーする

ゲームオンは、「試合を開催する」ための仕組みです。

そこにハーフゲーム・ルールが加わることで、「そこにいる選手が実際にプレーする」ところまで考えます。

役割は違いますが、どちらも選手が実際にラグビーを経験する機会につながっています。

9. すべてのスクールラグビーで同じではない

ここまで読むと、

NZでは1st XVより下なら、どの試合でもまったく同じルールなの?

という疑問が出てくるかもしれません。

実際には、そうとは限りません。

NZ Rugbyの全国的なルールに加えて、地域や大会ごとに独自の規定が設けられる場合があります。

ゲームオンについても、実際にどのカテゴリーでどのように適用されるかは、その地域や大会のルールを確認する必要があります。

また、1st XVには今回説明している仕組みの一部が適用されません。

例えば、100年以上の歴史を持つ1st XVのチャレンジトロフィーMoascar Cupでは、ゲームオンとハーフゲームの仕組みを使用しないことが公式ルールで定められています。

つまり、NZのスクールラグビーには、カテゴリーや大会に応じた異なる競技環境があります。

CHAPTER 4|ルールから見えるNZラグビー

10. 人数不足でも、まず「どうすれば試合ができるか」を考える

Game Onは、2020シーズンからNZのクラブ・スクールラグビーに導入されました。

その仕組みで特に興味深いのが、人数が足りないときの考え方です。

15人制ラグビーだから、

15人揃わなければ試合はできない。

とするのではなく、

では、今日いる選手たちでどうすればラグビーができるか。

と考えます。

13人なら試合人数を調整する。

人数が少なければフィールドを小さくする。

安全にスクラムを組めるフロントロー選手が十分に揃わなければ、スクラムの方法を変更する。

もちろん、安全性や競技規則を無視して何でも変更できるわけではありません。

それでも最初から「できない」とするのではなく、安全に試合を成立させる方法がルールとして用意されていることが、ゲームオンの特徴です。

11. 選手をゲームに合わせるだけではない

NZ Rugbyは現在、参加者のニーズに合った形でラグビーを提供し、より多くの人が競技を続けられる環境をつくることを重視しています。

ゲームオンにも、それと同じ参加者を中心に考える方向性を見ることができます。

人数が15人に届かないから、その選手たちがラグビーをできないのではなく、参加できる人数に合わせてゲームの側も調整する。

ハーフゲーム・ルールも同じ方向を向いています。

スコッドに入った選手がベンチに座り続けるのではなく、実際にプレーする時間をつくる。

決められた競技形式を守ることだけではなく、選手が実際にラグビーを経験できることにも重点が置かれています。

12. ラグビーを続けられる環境をつくる

NZ Rugbyが現在の参加者向けの方針で重視している課題の一つが、ラグビーを始めた選手に、できるだけ長く競技を続けてもらうことです。

試合が中止になる。

チームにはいるけれど試合に出られない。

人数が足りず、チームそのものが成立しない。

こうした状況を減らし、実際にラグビーをプレーできる機会を増やすために、さまざまな仕組みが設けられています。

ゲームオンは、試合そのものを成立させる。

ハーフゲーム・ルールは、そこにいる選手が実際にプレーする時間をつくる。

方法は違いますが、どちらもより多くの選手がラグビーをプレーし続けられる環境につながっています。

まとめ|「試合をする」だけでなく、「選手がプレーする」

Game OnとHalf Game Ruleは、それぞれ役割が違います。

Game On(ゲームオン)は、人数やフロントロー選手が足りない場合でも、条件を調整して試合を成立させるための仕組みです。

Half Game Rule(ハーフゲーム・ルール)は、対象となる選手に最低限のプレー時間を確保するための仕組みです。

一方は、

試合を成立させる。

もう一方は、

選手が実際にプレーする。

この2つを一緒に見ると、NZのスクールラグビーが何を大切にしているのかが見えてきます。

決められたラグビーの形に選手を合わせるだけではなく、できるだけ多くの選手が、実際にフィールドに立ってラグビーを経験できる環境をつくる。

Game OnとHalf Game Ruleは、そんな考え方を具体的なルールとして見ることができる仕組みです。