「ニュージーランド代表」と聞いて、まずオールブラックスを思い浮かべる人は多いでしょう。
しかし、黒いジャージーを着てニュージーランドを代表するチームは、オールブラックスだけではありません。
Black Ferns、Māori All Blacks、セブンズ、All Blacks XV、U20など、それぞれ違う役割と世界を持つ代表チームがあります。
この記事では、オールブラックスを入口に、その周りに広がるニュージーランド代表チームの全体像をたどっていきます。
最後まで読めば、オールブラックスだけでは見えてこない、女子、セブンズ、Māori、年代別まで広がるニュージーランド代表チームの全体像が分かるでしょう。
CHAPTER 1|NZ代表はAll Blacksだけではない
1. ニュージーランドにはどんな代表チームがある?
ニュージーランドラグビーの象徴といえば、もちろんオールブラックスです。
しかし、そこから少し横へ目を向けると、代表チームの世界は一気に広がります。
NZR公式サイトでは現在、次の7チームが「Teams in Black」として紹介されています。
- All Blacks
- Black Ferns
- All Blacks Sevens
- Black Ferns Sevens
- Māori All Blacks
- All Blacks XV
- New Zealand U20
男子15人制だけではありません。
女子、セブンズ、Māori、若い世代まで、それぞれ異なる代表チームがあります。
ニュージーランド代表=オールブラックスではない。
これを知るだけでも、NZラグビーの見える範囲は大きく広がります。
2. 「Teams in Black」とは?
NZRは、ニュージーランドを代表するチームを紹介する際に「Teams in Black」という表現を使っています。
現在のNZR公式サイトでは、先ほどの7チームがこの見出しの下で紹介されています。
ここで大切なのは、「7」という数字を覚えることではありません。
Black Ferns XVのように、この一覧以外にもニュージーランドを代表して活動するチームや育成環境があります。
したがってこの記事では、「Teams in Black」を固定された7チームの制度名としてではなく、現在NZRが前面に紹介している代表チームの世界を知る入口として見ていきます。
3. 代表チームは単純な上下関係ではない
代表チームを、
U20
↓
All Blacks XV
↓
All Blacks
という一本道だけで理解するのは適切ではありません。
女子にはBlack Fernsがあり、セブンズには男女それぞれの代表があります。そしてMāori All Blacksには、競技レベルだけでは説明できない独自の歴史と文化があります。
つまり、NZの代表チームには、
- 男子15人制
- 女子15人制
- セブンズ
- Māori
- 年代別・育成
など、それぞれ違う世界があります。
CHAPTER 2|15人制の代表チーム
4. All Blacks
オールブラックスは、ニュージーランド男子15人制の代表チームです。
世界的に知られる黒いジャージー、シルバーファーン、ハカ。そして100年以上にわたる国際舞台での歴史があります。
しかし、NZラグビーディスカバリーで見ていきたいのは、代表戦の結果だけではありません。
選手の背景をたどれば、スーパーラグビー、州代表ラグビー、クラブ、高校、地域へと世界が広がっていきます。
オールブラックスは、NZラグビーの終着点としてだけでなく、その奥にある世界へ入っていく入口にもなります。
5. Black Ferns
女子15人制のニュージーランド代表がBlack Fernsです。
Black Fernsを入口にすると、スーパーラグビー・アウピキ、Farah Palmer Cup、クラブや学校、地域でプレーする女性や女の子へと、NZ女子ラグビーの世界が広がっていきます。
つまり、
Black Fernsだけを見るのではなく、その後ろにある女子ラグビー全体を見る。
そうすると、NZラグビーを男子だけで理解することができない理由が見えてきます。
6. All Blacks XV
All Blacks XVは、NZRがオールブラックスに次ぐシニア代表チームとして設けているチームです。
名前が似ているため、「オールブラックスの控えチーム?」と思うかもしれません。
しかし、単純にそう理解するより、NZのトップレベルでプレーする選手たちが、国際レベルの試合を経験する機会にもなる代表チームと考える方が分かりやすいでしょう。
All Blacks XVを知ると、代表チームと選手育成の間にも複数の接点があることが見えてきます。
CHAPTER 3|NZ独自の代表チーム
7. Māori All Blacksとは?
NZラグビーを理解するうえで、ぜひ知っておきたい代表チームがMāori All Blacksです。
Māori All Blacksは、Māoriの系譜(whakapapa/ファカパパ)が確認された選手たちによって構成される代表チームです。
whakapapaは、日本語では「系譜」や「先祖からのつながり」とすると入口として分かりやすい言葉です。
ただし、単なる家系図という意味だけではありません。
自分がどこから来たのか。誰とつながっているのか。どのような歴史を受け継いでいるのか。
そうした祖先、出自、つながり、アイデンティティに関わる概念でもあります。
ここに、Māori All Blacksを単なる「別のNZ代表」として見るだけでは分からない面白さがあります。
8. Māori All BlacksはAll Blacks XVと何が違う?
Māori All BlacksとAll Blacks XVは、どちらも男子15人制の代表チームですが、存在する意味は同じではありません。
All Blacks XVは、オールブラックスに次ぐシニア代表という位置づけです。
一方、Māori All Blacksでは、選手がMāoriのwhakapapaを持つこと自体が代表資格に関わります。
All Blacks XVは主に競技・代表育成の文脈から見るチーム。
Māori All Blacksは競技だけでなく、whakapapaやMāoriとしてのアイデンティティまで含めて理解したいチーム。
この違いを知ると、「NZ代表チームを強さの順番だけで並べる」見方から離れることができます。
9. ラグビーとMāori文化
Māori All Blacksを知ると、ラグビーからMāori文化へ自然に世界が広がっていきます。
例えば、先ほどのwhakapapa(ファカパパ)。
そして、もう一つ知っておきたい言葉がwhānau(ファーナウ)です。
日本語ではまず「家族」とすると分かりやすいですが、文脈によっては血縁だけに限定されない、人と人とのつながりまで含んで使われます。
Māori All Blacksを見るときも、選手個人だけでなく、その後ろにあるwhakapapa、whānau、コミュニティ、そしてこれまで黒いジャージーを着てきた世代まで視野を広げることができます。
ラグビーを見ることが、Māoriの言葉や文化を知る入口になる。
これは、ニュージーランドラグビーを深く知っていく面白さの一つです。
CHAPTER 4|セブンズと若い世代
10. All Blacks Sevens
男子セブンズのニュージーランド代表がAll Blacks Sevensです。
15人制とは人数も試合時間も大会の進み方も異なり、より広いスペースでスピードや一対一の能力が見えやすい競技です。
同じ「ニュージーランド代表」でも、15人制とは違う世界があります。
オールブラックスから男子15人制へ。
All Blacks Sevensからセブンズへ。
入口を変えるだけで、見えてくるNZラグビーも変わります。
11. Black Ferns Sevens
女子セブンズの代表がBlack Ferns Sevensです。
- Black Fernsを入口に「女子15人制」を見る。
- Black Ferns Sevensを入口に「セブンズ」を見る。
同じ女子ラグビーでも、そこからたどれる大会、選手、プレースタイルは同じではありません。
NZラグビーを知るときには、「男子/女子」だけで分けるのではなく、15人制/セブンズという違いも大きな入口になります。
12. New Zealand U20
若い世代の代表として重要なのがNew Zealand U20です。
NZRはU20を、ニュージーランドの年代別代表における最上位チームと位置づけています。
ここから視線を下へ移していくと、高校ラグビー、クラブ、地域ラグビー協会、育成プログラムなどへつながっていきます。
ただし、全員が同じ道を通ってU20、All Blacks XV、All Blacksへ進むわけではありません。
NZの選手育成は一本の一本道ではなく、複数の環境と機会がつながっている。
U20も、その大きな育成の世界を知る入口の一つです。
CHAPTER 5|一つの黒いジャージー、その奥にある違う世界
13. Black Ferns XVなど、さらに広がる代表・育成の世界
ここまで紹介したチームだけで、NZの代表・育成環境がすべて終わるわけではありません。
例えばBlack Ferns XV。
Black Ferns XVも、女子選手が国際レベルの試合を経験し、さらに成長していくための重要な環境の一つです。
さらに視野を広げれば、年代別、地域代表、Māori rugbyなど、それぞれの文脈に代表・育成の機会があります。
だからこそ、「NZ代表は何チームある?」という数字だけで理解しようとすると、この世界の面白さを取りこぼしてしまいます。
14. 一つの代表チームからNZラグビーを広げてみる
好きな代表チームを一つ選んで、そこから世界を広げてみてください。
- オールブラックスから、スーパーラグビーへ。
- Black Fernsから、女子ラグビーへ。
- Māori All Blacksから、whakapapaやMāori文化へ。
- All Blacks SevensやBlack Ferns Sevensから、セブンズへ。
- New Zealand U20から、高校ラグビーや選手育成へ。
入口はどこでも構いません。
黒いジャージーは一つの象徴。でも、その奥には一つではないNZラグビーの世界がある。
一つのチームを知ることが、別のチーム、選手、地域、文化を知るきっかけになる。
それが、ニュージーランド代表チームを「オールブラックスだけ」で終わらせずに知っていく面白さです。
一つの代表チームから、もっと大きなNZラグビーの世界へ。
